母乳の出るしくみ/乳腺炎について

母乳の話/母乳の出るしくみ

母乳の出るしくみ

妊娠すると、卵巣や胎盤から出るエストロゲンやプロゲストロンというホルモンが、乳房を発育させ、授乳に向けて準備を始めますが、赤ちゃんがお腹にいる間は胎盤から出るホルモンが母乳分泌を抑制しています。
赤ちゃんが産まれると胎盤が出ることによって母乳を作るホルモンのプロラクチンが脳下垂体前葉から分泌され、母乳の分泌が始まります。
また、赤ちゃんがおっぱいを吸啜刺激が脊髄から脳に伝わってプロラクチンとオキシトシン(母乳を押し出すホルモン)が分泌され、母乳が出てくるのです。
一般的に、「乳房が小さいから出にくい!!」「張っていないから出ない!!」と思っている人が多いのですが、乳房は母乳がたまるところではなく、母乳を作り出す工場です。ですから、赤ちゃんが生まれて、授乳が可能なら頻回に授乳をしましょう。赤ちゃんが飲めないときは、なるべく早くから搾乳をして乳頭刺激しておく必要があります。

双子の赤ちゃんでも、同時授乳や頻回に授乳していると2人分の母乳が出るようになることもあります!!あきらめないで、授乳を続けることと、ママが疲れないようにサポートしてもらえるといいですね。

双子の赤ちゃん

乳腺炎について

痛い乳腺炎も、痛みの少ない桶谷式乳房手技で適切に対応し、医療の必要な場合は、提携している母乳育児に理解のある乳腺専門医の練馬駅前内視鏡・乳腺クリニックへ御紹介しています。

育児通信132号特集『母乳育児中の乳房の病気の乳腺炎』より抜粋
練馬駅前内視鏡・乳腺クリニック院長佐貫潤一先生著

大切なおっぱい、赤ちゃんに飲んでもらうために作られたのに、飲んでもらわないまま乳腺の小葉や乳管の中に取り残されると、乳房が悲鳴をあげます。これがうっ滞性乳腺炎の状態です。うっ滞性乳腺炎は、授乳しているお母さんの10人に一人が経験します。
解決方法は、溜まったおっぱいを出してあげること。マッサージによる手技、赤ちゃんに正しい飲み方を教えてあげるとよくなります。マッサージによる手技は、乳房の血液の流れも改善します。フレッシュなおっぱい脳をたくさん作りだし、溜まったおっぱいの循環もよくする効果が期待できます。葛根湯を飲むのもよいでしょう。痛みを軽減させ、おっぱいの出も改善します。
うっ滞性乳腺炎を放置したり、うまく解決できないと、溜まったおっぱいに細菌が繁殖します。お母さんの乳汁を運ぶ乳管は乳頭で外界とつながっています。たとえ赤ちゃんといえども、口の中には細菌がいますから、赤ちゃんの口、唾液を介して、お母さんの乳管の中に細菌が入り込みやすいのです。暖かい栄養に富んだおっぱいは、細菌にとっては最高の繁殖場所。あっという間に細菌を含んだ乳汁が乳房内に広がります。乳房が痛み、赤く腫れ、乳房や全身の発熱を伴うこともあります。これが感染性乳腺炎の状態です。うっ滞性乳腺炎になったお母さんの10人に一人がこの感染性乳腺炎に移行すると言われています。
感染性乳腺炎の治療の第一歩は、うっ滞性乳腺炎と同様に、溜まったおっぱいを出してあげること。マッサージによる手技、そして赤ちゃんに正しい飲み方を教えてあげます。
ただ、細菌による炎症は発熱や痛みを増強しますから、乳房を冷やし痛み止めを飲んだり、抗生物質で治療することもあります。 感染性乳腺炎を上手に解決できないと、細菌がどんどん繁殖し、膿の塊をつくります。皮膚が赤く腫れ、痛みと熱をもったしこりができ、39度から40度の発熱で苦しむことがあります。これが膿瘍性乳腺炎で、感染性乳腺炎のお母さんの10人に一人が、膿瘍性乳腺炎に進行します。
膿瘍性乳腺炎になると、簡単にマッサージで膿を出し切ることは出来ません。切開して膿を出してあげる手術が必要になります。局所麻酔した上で、シリコン製の管を数日入れておき、マッサージと授乳を続けながら膿を出し切るようにします。通常、膿をしっかり追い出せば痛みや発熱は嘘のようになくなります。(中略)
乳腺炎の時、しっかりまんべんなく赤ちゃんに飲んでもらわないと、半日、一日でうっ滞性乳腺炎になり、数日で感染性乳腺炎、膿瘍性乳腺炎に進んでしまうこともあります。「ちょっと乳腺炎が危ないな」と思ったら、しっかり授乳をして、安静を心がけましょう。家族に任せられる家事はお願いし、母乳育児の専門の助産師に相談し、無理をしないことです。

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